ASATONのドキドキのシベリア鉄道体験記NO.9
「五日目(2002年7月14日)」

今日は お楽しみにしていたバイカル湖が見れる。朝方に見れる筈だからと目覚ましを早めにセット。しかし、なかなか寝つけなかったため結局2〜3時間しか寝ていないことに。

せっかく頑張って起きたのに、外を見ても湖らしきものは無い。見逃してしまったのだろうか。しかし、MちゃんとYちゃんは早めに起きてカップラーメンをすすりながら常に外をチエックしてくれているし。Asatonは少量の朝食と寝不足のせいで朝から気分が悪い。

そうこうしているうちにイルクーツクの駅にかなり遅れて到着。ホームには西洋人のバックパッカーが大勢列車を待っていた。後から分かったのだが、ほとんど同じツアーの人達でバイカル湖でトレッキングをするために途中下車して何日か滞在していたらしい。いつのまにか あのモンゴル商人達は消えていた。どうやらイルクーツクの手前の駅で降りたらしい。代わりに旅行者が増えたので雰囲気ががらりと変わった。

やっとバイカル湖が見えてきた。モスクワ時間で6時。本来なら1時に見えるはずだったのに。(現地時間ではその時は午前中だった)列車はかなり遅れている。3人ともバイカル湖に歓声をあげ、必死に写真を撮ろうとする。が、電柱や木に邪魔されてなかなか思うようにいかない。ようやく撮り終えてじっくり湖を眺める事ができた。水はすごく綺麗という事も無かったけれど、とにかく広い!一時間以上走っているのにまだまだ湖が続いている。3〜4時間走ってもまだ湖だった。途中、湖の際を走ったり、スイスのような風景が見れたり。堪能した。

途中の停車駅で2分しかないながらも窓からイチゴを購入。Yちゃんはなんとか外に出て燻製3種類をゲットしてくれた食べ物の購入も段々うまくなっていったなあ。

お昼にYちゃんとMちゃんはロシアルーブルを使いきるため食堂車へ。一時間半位して戻ってきたけれどAsatonは気分が悪くてうつらうつらしていました。二人が帰ってきてからMちゃんに付き合ってもらって食堂車に行く事に。鶏肉のスープと黒パンをオーダー。パンはまずいけれどスープはまあまあかな。帰ってくるとYちゃんは熟睡していた。Mちゃんも「寝る」といって上段のベッドへ。結局3人でしばらく寝て過ごす。

夕方の5時にもう一回食堂車へ。ルーブルが持ち出し禁止なのでなんとしても使いきりたい。食堂車は高いと聞いていたのでこれまで使わなかったのが一食100ルーブル以上あればOKだった。今回はポークのメインを食べる。パスタも添えてあっておいしかった。ルーブル使いきり作戦のため、食堂車の売店でジュース、お菓子、ウオッカを買って、なんとか紙幣を使いきる。

もうすぐ国境である。トイレが閉められる前に行っておこうと持ったらもう閉まっていた!どうしよう、予定では200分間停車でるもつか、200分…。シベリア鉄道では トイレの“汚物”はそのまま下に落とされる仕組みなので停車中は(その前後10分くらいも)トイレは使用禁止となり閉められてしまうのです。

ロシアの国境駅のナウシキに到着し、ロシアの係官が乗りこんできた。そうしてお客のパスポートを持ってどこかに行ってしまった。停車時間が長いし特に降りるなとも言われなかったので、お客が駅に降りはじめていた。このまま何時間もトイレを我慢するのは苦しい。Yちゃんをさそって意を決して駅のトイレを探しに行く。

軍人さんらしき人に教えてもらって、トイレは無事に見つける事ができた。ものすごいトイレだった。便器じゃなくて穴があるようなもので、においもすごい。でも、用を足せてやれやれだった。で、落ち着いてからプラットフォームを散策していると、駅の柵の向こう側で地元民が食べ物を売っている。品物のやりとりもお金の受け渡しも柵ごしである。どうやら地元民は駅の中には入れないらしい。3人のルーブルの小銭をかき集めて肉まんを買ったりする。おいしそうだったのは炭火焼のバーベキュー。それを柵ごしに売るんだからすごい根性だと感心してしまう。

2時間位外にいれたがアナウンスがあって全員列車に戻った。係官がきてパスポートを返すとともに、一室づつコンパートメントをだされ部屋の中のチエックがあった。といってもざっと見るだけだったけれど。私達の予測では密入国をチエックしたいのかなという感じだった。今度は税関の職員が来るがここで問題が起きてしまった。ロシアの出入国時は所持金を正確に申告しなくてはならないのだが、入国時に記入しスタンプを押された書類を出国時に書いた書類と合わせて提出しなくてはいけない。2枚揃ってはじめてOKがでるのだ。入国時より所持金が増えていないかチエックされるらしい。私達もこの制度は知っていた。だからベルリンからモスクワに出る列車の中で一生懸命申告書を書いて提出したのだった。なのにその時の係官は書類を集めて持っていってしまい返してくれなかったのである。後で返しにくるのかと思い(結局返しにこなかったけれど)、別になくても大丈夫なのかもと思い気にもとめず確認をしなかった。

さあて、シベリア鉄道の中で税関の係員のおばちゃんはその書類を提出するように言ってきた。私達は「持っていない」といい理由ももちろん説明した。しかし、おばちゃんは「それは困る」といったことを言った。                
                
「それがないとねえ」
おばちゃんの顔はとてもシリアスである。しかし今更私達にはなすすべが無い。しばし、コンパートメントの中を重い沈黙が流れる。もしかしてここで降ろされてしまうだろうか。ありえないことではない。どうしよう、おばちゃんなんとかしてくれ。おばちゃんはとてもシリアスな顔のままである。同僚に相談したりしている。やがて、ちょっと不本意そうな声で
「ユーロがいくらで ドルがいくら…。ま、いいか。」
といったような事をつぶやいてコンパートメントを出ていった。冷や汗である、いや顔面蒼白とでもいおうか。とにかく3人一気にシリアスムードになってしまった。いくらおばちゃんが出ていったとはいえ見逃してくれたのか確信が無い。もしや、又戻ってきて「はい、降りて!」と言われてしまうのではないか。「列車が動くまで安心できない」というわけで3人ともまんじりともせず列車が動くのを待った。結局、夜の7時近くに国境駅について11時45分に出発した。で、3人はやっと胸をなでおろしたのであった。約5時間の国境越え、長かった…。この旅一番の危機であった。税関のおばちゃんの温情に救われた。そうでなかったらどうなっていたことか…。

そうして 次はちょっと走ってモンゴルの国境駅に到着。またここでモンゴルの出入国カード、税関への申告書を書かなくてはいけない。が、困った事に字が読めないのである。モンゴルの言葉でしか書かれていない…。車内をうろうろして ラモス夫妻のコンパートメントにお世話になる。このコンパートメントには英語が話せるモンゴル人の学生さんがいたのだ。みんなに教えてもらって書類を書き上げ、入国審査等があって列車が再び動き出したのは 夜中の2時近くであった。もうくたくた。

{教訓}
バイカル湖はとても大きな湖なのであわてて写真を撮らず、景色が良くなるまで待ったほうが良い。

国境越えは想像以上に時間がかかるもので、予定より伸びることもあるので覚悟しましょう。トイレは早めに済ませておき(閉まる直前には長いキューができる)直前にもう一回行くようにすれば完璧です。飲食は国境到着の2時間前から取らないようにしましょう。特に紅茶は利尿作用が強いので禁物です。

ロシア入国時の税関にだす書類は必ずスタンプをもらって返してもらいましょう。そしてなくさないように大切に保管しておいて下さい。

つづく


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